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最南端の町から

インドに着きました。一昨日まで当り前に働いていたのに、飛行機に15時間くらい乗ったら、あっという間に別世界。日本を遠く離れた場所なのに、遥々やって来たという気がしません。何だか騙されているような感じが、しないでもありません。
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日常と旅のすきま

サラリーマンの宿命で、社会人になってから、僕は夏休みの限られた時間を利用して旅を続けています。旅ができるだけだけ恵まれている、とは思いますが、旅仲間と話した時などは、昔の自由を懐かしんで気儘が口をついて出てしまいます。学生の頃はと言えば、論文等で多少の制約はあったものの、比較的自由に計画を立てて、しっかり準備をして出かけたものです。
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自慢話

名コラムニスト山本夏彦は、その昔、「PR」という言葉を「自慢話」または「自画自賛」と訳したものです。言うまでもなく、「PR」は「パブリック・リレーションズ」の略、すなわち「宣伝活動」「広報活動」と、辞書には出ていますが、夏彦翁の訳は、実に云い得て妙、というほかありません。
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その9 人知を超えた力

四月下旬、東京に田中一村展がやってきた。「奄美群島日本復帰五〇周年記念」の一環として、東京の大丸デパートで開かれた展示会に、筆者も足を運んだ。代表作「アダンの木」や「クワズイモとソテツ」の前にたたず佇んで、初めて目前にした一村の作品群に声を失った。作品から醸し出される一村の気迫が、時空を超えて観る者に迫ってくる。潮風を受けたクワズイモの葉が生きたように揺らめき、雲間から洩れる微かな陽光を受けたアダンの針葉は、意志を持っているようだ。「一村は神を描いた」という者もあるが、確かに、彼は奄美の生命力溢れる自然の中に、人間の力の及ばないあるもの、すなわち「Something Graet」でも見ていたのかもしれない。
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その8 森の奥にあったもの(後)

環境省によると、全国の不法投棄または違法な保管状態にある使用済自動車は一六万九千台。うち離島分は二万一千台に上る。しかし、これは表向きの数だ。現行の「廃棄物処理法」では、所有者が「有価物」だと主張した場合、それは「廃棄物」の扱いとはならない。従って、外見上いかにゴミと判定されるような代物(しろもの)でも、「廃棄物処理法」上の「廃棄物」とは限ら
ない。
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その7 森の奥にあったもの(前)

島の西部にある知名瀬地区。集落から農道を数百メートル分け入った薮の中に、天井が潰れ窓ガラスを割られた車が、無造作に放置されていた。昨夜の雨に濡れた車体が、背丈ほどに伸びたススキの間から鈍い光を放っている。
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その6 奄美と大和(後)

琉球の使節が軍隊を伴って海の向こうからやってきて、喜界島を従えたのが一四六六年。琉球の時代は一般に「那覇ン世」と言われ、奄美では平和な時代として認知されている。対して、続く薩摩支配では「黒糖地獄」に象徴される収奪によって、島は大いに苦しめられた。薩摩が奄美を永く生番扱いにしていたことは、奄美に島流しに遭った西郷隆盛が、島人を「毛頭人」「えびす共」と蔑んだことにも明らかだ。従って、本土では不世出の英雄として衆庶の尊敬を受ける西郷を祀る記念碑が、奄美では一介の石碑とみすぼらしい庵に過ぎないのも止むを得ない。
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その5 奄美と大和(前)

名瀬市屋仁川地区。市役所環境対策課の渡さんに誘われて、こぢんまりした地元料理の店に入った。器量の良いママさんがパートの女性と二人で切り盛りする感じの良い店だ。屋仁川地区は小さな飲食店が並ぶ繁華街で、昼は閑散としているが夜になると仕事帰りのサラリーマンや観光客で賑わう。奄美に来た大和人は、黒糖焼酎で杯を満たしながら島の言葉に耳を傾ける。地元の居酒屋は、異国情緒漂う奄美を実感するに相応しい場所だ。名物料理の豚足などを肴にしながら、話は奄美の歴史や文化へと及んだ。
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その4 黒い浜(後)

東京海洋大学の兼広春之教授によれば、海洋ごみは一般に「マリンデブリ」と呼ばれ、海岸漂着ごみ以外にも海面を漂流するごみ、海底に堆積するごみがある。とりわけ最近ではプラスチック廃棄物による汚染が深刻で、世界の海に流れ込む年間数百万トンからのプラスチックが、漁場環境や生態系に悪影響を与えている。しかも、プラスチックはその性質上ほとんど分解しないから、一度海に出てしまえば半永久的に海を漂い続ける。
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その3 黒い浜(前)

黄緑色の実をつけたアダンの木が茂る中を、潮風が吹いてくる方角に向かって歩いていく。目の前に広がる遠浅の海の遙か沖で、クリフにぶつかったうねりが白い波頭を揚げている。そこから珊瑚礁を隔てて筆者の立つ白い砂浜には、穏やかな波が薄紗(はくしゃ)の縮れたようなしわ皺(しわ)を寄せている。空と海との境界は朧気(おぼろげ)な霞のうちに溶け込んで絵画的にぼかされ、見る者に、遠い遠い海の彼方のニライカナイを連想させる。
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