2005.12.31 Saturday
名作『ニューシネマパラダイス』が、銀座のシネスイッチでリバイバル上映中です。映写技師アルフレードと、少年トトの友情を描いたイタリア映画。最近の映画館では、1ヶ月半くらいで上映作品が替わるのが普通なのに、この作品は40週間のロングランだったとか。もう15,6年前のことですが、以来これだけの記録はないかもしれません。
僕は、ハリウッドの派手な作品はあまり好きではありません。ヨーロッパの文学作品とか、歴史物とか、イタリアの名作を小さな映画館で観るのが好き。中でも『ニューシネマパラダイス』は、いつかスクリーンで観たいと思っていた作品です。あの旋律を聴いただけで、シチリアの美しい映像と感動のシーンが甦るようです。
トトは村を出て30年間帰ることなく、今や有名な映画監督。しかし故郷に帰らなかったのは、アルフレードの教えをかたくなに守ったからだった、というところがこの作品の肝でしょう。故郷を持つ人なら誰でも涙を流さずにはいられない場面です。『ニューシネマパラダイス』は、故郷を語った名作だと思います。
さて、僕の故郷山形は、今年は何十年に一回という大雪です。ひと晩で膝がかくれるほどの積雪。屋根から下ろした雪は、2階の窓の高さまでになりました。でもこの雪景色の中じゃないと、僕に正月は来ないのです。
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2005.12.23 Friday
年賀状の作成が大詰めです。毎年、もっと早く書いとけばよかったと思うのは、皆さんも同様でしょう。最近はパソコンが大いに威力を発揮して、デザインと住所をインプットすれば、プリンターが勝手に作ってくれます。一枚一枚手書きだった時代を思えば、労力はほとんど無に近くなりました。
僕は、職場に出入りの印刷屋に発注して裏面に絵柄だけ入れてもらったものを使います。住所と一、二行のメッセージを自筆する。全部パソコンにやらせると、もらった人に直接プリンターから届けられたような思いを思わせる気がするからです。せっかく送るのだから、住所とメッセージを書くくらいの労はかけようと心がける。
小さな空白に書くメッセージの文句は、誰にでもあるわけではありません。義理で出す職場の人には「本年もよろしくお願いします」としか書きようがない。虚礼はやめるべし、というキャンペーンを張る会社が少なくないのは、無理もありません。実際にやめた会社もあると聞きます。
でもやっぱり、年賀状はもらうと嬉しいもので、遠く離れた友人知人から届いた葉書には何が書いてあるだろうと思うのは人情です。年に一度の楽しみを運んでくる年賀状は、やっぱりあっていいものです。
今年は、僕もありがたがられる年賀状を書いて送りたいと思っています。
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2005.12.20 Tuesday
久しぶりの永田町日記。このところ、永田町霞ヶ関界隈は国の予算編成が大詰めを迎えてあわただしい毎日を送っています。今日は財務省原案が各省に示されました。自民党では、残りわずかな金額の分捕り合戦がはじまっていますが、それは本当にわずかなお金で、分捕るにも分捕り甲斐がないと、族議員の意気も揚がりません。
だいたい日本の予算は何年も前から火の車。総額は80兆円あまりですが、税収は合わせても46兆円ほどしかありません。
要するに、46万円の給料で80万円の生活をしている。ただし、80万円の出費のうち、借金の利払いに18万8000円、地方への仕送りに14万6000円を充てているので、純粋な生活費は47万円といったところです。不足している分は、いわゆる国債を発行して補う。何のことはない借金でつないでいるのです。この借金は増える一方ですから、分捕り合戦が盛り上がるようじゃ困るんだけど。
上に書いた数字をみると、身に合わない贅沢をしているようですが、これでもだいぶ質素に作った予算です。選挙の結果、族議員のゴリ押しの力が弱まって、流行の小泉チルドレンが活躍して、ようやくここまで来た。さて、ここから身の丈にあった、収入にみあった生活をするまでは、またひと苦労でしょう。一端上がった生活のレベルを落とすのは容易じゃありません。
小泉後も改革は続くのか。予算が改善するかどうかは、ひとえに改革の行方に懸かっています。
そうそう、予算の話よりも、この近辺で盛り上がったのは建築物の耐震強度偽装問題かもしれません。総合○営研究所の事務所が僕のオフィスからすぐ近くにあって、報道陣が車を連ねて、100人くらいで周りを囲んでいます。老所長の永年の悪事が次々出てきて、ネタは尽きません。これからもしばらくは尽きないでしょう。
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2005.12.16 Friday
ロシアの革命家トロツキー(1879年〜1940年)に『わが人生』という本があって、岩波文庫から日本語訳が出ています。上下巻合わせて1100頁になんなんとする大著。この間行った古代史フォーラムで、主催者の一員だった岩波書店が会場で配布していた『読書のすすめ』(岩波文庫別冊)の中で、去る作家が推薦していたのです。
日本文学でさえ、そうたくさん読んでいない僕にとって、外国文学はほとんど未知の領域です。何冊か読んだものも、翻訳がまずいかったせいもあって、あまり面白かったという印象がありません。川端康成の作品を英語や仏語に訳したところで、あのみずみずしい表現が伝わるかといえば疑わしいのと一緒で、外国作品の日本語訳が原作とは似ても似つかぬシロモノになったということは、よくある話です。漱石の『坊っちゃん』のべらんめえ調のセリフは、やはり英語に訳せるとは思えません。
一週間に近い休みと言えば、夏休みとゴールデンウィークと年末年始くらい。せっかくの長い休みなのだから、今度の休みで、普段読めない大作でも読んでみようと思っていたところで目にとまったのが、トロツキーの『わが人生』なのです。トロツキーと言えば20世紀の偉人の1人で、聞けば文学の素養もかなりのものだったといいます。
岩波文庫の訳本が、果たしておもしろく読めるかは別問題ですが、原作は少なくとも20世紀の名著。僕は赤ではないけれど、この機会に試してみようと思ったのです。
翻訳が秀逸で、途中で投げ出さないで最後まで読み切れたなら、ここで感想を述べてみたいと思います。
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2005.12.14 Wednesday
忘年会の季節がやってきた。サラリーマンにとっては、毎年恒例のイベントである。
今年も大詰め、一年のうちにあった、あんなこともこんなことも、大いに飲んで忘れよう。構わない今日は無礼講だと、いつもは怖いあの人も、無口で知られたこの人も、この時ばかりは一同席を共にする。
この無礼講が、果たしてくせものである。この言葉を真に受けて腹蔵なくしゃべったところ、翌朝まわりの視線がいつもと違っている。しまった無礼講はタテマエだったかと、気がついても手遅れである。何でも忘れてくれるはずだったのに、同席したものは前夜の一部始終を覚えている。これから先も、しばらく忘れることはなさそうである。
さらに、くせものの本領はここからである。何でも話せと言われて、ほんとに話せば馬鹿を見るからと全て無難な話題で切り抜けようとしても、やっぱり馬鹿を見るのである。ホンネもだめ、タテマエもだめだとすると、一体どうすればいいのだろう。
ここが、サラリーマンの腕の見せどころである。けっしてタテマエではない、しかしよく聞くと当人のホンネでもない、いかにもホンネらしきことを語って絶対に怪しまれないものが、稀にいるのである。それはほとんど神技のようで、誰でもまねができることではない。
政治家が生きているのは魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界だというけれど、なにサラリーマンの世界だって似たようなものである。できるサラリーマンになりたいなら、その技を身につけるべし。
けれど、その腕前がまだまだ拙い僕は、生涯よき旅人であることことの方が、より大事だと思っている。ろくに話したことのない人が、不肖僕のことを「彼は少し変わっている」と言うのは、そのためだと思われる。
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2005.12.13 Tuesday
来年は職場の慰安旅行で、韓国に行きます。2泊3日の短い旅行ですが、韓国は初めてです。未知の世界を見たいという動機で続けてきた旅の目的地に、お隣の韓国が入ってくることはなかった。それに、いつでも行けるだろうと、タカをくくっていたのです。
で、今年委員になっていた僕に、旅行係がまわってきました。お前は旅慣れているから、というのがその時の上司の言葉ですが、上司は同時に、ただし“一般的な”旅行にするんだぞ、と言うのを忘れませんでした。まあ、当たり前の話ですが。。。
今日は旅行会社4社に見積もりを依頼しました。2泊3日2班編制。2班が合流する夜に親睦会。さらに自由行動になる2日目の参考に、オプショナルツアーを提示してくれ。というのがおおよその条件です。
自由行動と言われると、何をしていいのか分からないのが日本人です。慰安のための旅行なのに、先輩同僚に気を遣いながら団体行動をするのが社員旅行ですが、それがイヤで参加しない人も近ごろはだいぶいるでしょう。
あまり期待はしませんが、せっかく外国に行って、その国の何物も見てこなかった、ということがないようにしたいと、僕は思っています。
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2005.12.12 Monday
近ごろだいぶ寒くなりました。日曜の夜には東京で雪が降ったそうです。去年より18日早い初雪だとか。昨日は1人で銀座に行ったのだけど、歩いていても確かに寒かった…。しかし、クリスマスが近いせいもあって、ネオンに輝く街はきれい。銀座には冬が似合います。
銀座のはずれを通る首都高のすぐ横に、テアトル銀座があります。昔から、けばけばしくない、名作と言われる映画を上映する映画館で、僕も学生時代から何度も通いました。同じ建物の3階にある、ル・テアトルという劇場では、年末から2月頃にかけて古い作品のリバイバル上映をやっています。
で、昨日はアル・パチーノ主演のシェイクスピア作品『ヴェニスの商人』を鑑賞しました。客席は2割くらいの入りだったけれど、これが重厚で見ごたえのある内容。アル・パチーノが、法と正義、友情と恋愛、偏見と差別という重たいテーマを演じきっています。ドスの聞いた声で立回るクライマックスの演技はさすがです。
ル・テアトルでは、有名な『風と共に去りぬ』のリバイバルが年末から始まります。ヴィヴィアン・リー演じるスカーレットを、ぜひ観に行きたいと思っています。
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2005.12.10 Saturday
久しぶりに休日ヒマがあったので、古代史シンポジウムに行ってきました。え?と言う声が聞こえてきそうですが(笑)。
僕はその昔(そんなに昔ではないけれど)日本の古代史を研究していた時期があって、今も時々所属していたゼミの飲み会に参加しています。今回は、コーディネーター役の恩師からCCのメールで案内状が届きました。
日本の古代史、といっても、歴史に興味のない人にはあまりピンと来ないかもしれません。いろいろ考え方はありますが、歴史が始まってから12世紀の末くらいまでの時期をそう呼んでいるようです。そうそう、「イイクニ創ろう鎌倉幕府」の前までですね(笑)。
古代史の話題で一番ポピュラーなのは、何と言っても邪馬台国問題でしょう。邪馬台国は果たしてどこにあったか、については長い長い論争があります。九州か近畿か、で決着がつかない。決定的な遺物でも発掘されない限り、多分これからもつかないでしょう。
でもそこが、古代史の魅力なのです。何といってもロマンがある。法隆寺に行ったら、1300年前の昔を想像して、同じ風景を見た古代人に想いを馳せる。歴史学は虚学だという人がいますが、ほんとはクリエイティブな学問なのです。 司馬作品がどれも面白いのはそこをしっかり伝えられているから、なのでしょうね。
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2005.12.09 Friday
12月第1週の日曜日の国立競技場。今年もラグビー早明戦を観戦に行きました。昼からの冷たい雨のせいもあって、スタンドの入りは7割たらず。最盛期には満員札止めが当たり前だった伝統の一戦にしては、ちょっと寂しい数字です。
それでも、ゲームは早明戦らしい熱気に溢れた試合になりました。なのに、結果は40−3のワセダ圧勝。メイジは強いワセダ相手によく頑張ってここまでの試合にした、というのが大方の戦評です。
それにしても、よく頑張ってこの点差。史上何番目かの大差の負けではありますが、早明戦の歴史に汚点を残すような結果にならなかっただけマシだというのが、メイジファンの本音です。少なくとも、がむしゃらに「前へ」の意気込みだけは見せてくれました。
90年代はメイジの黄金時代で、僕の学生時代はワセダ相手に公式戦5勝1敗。それが2000年をさかいに、今年でついに6連敗です。小さいワセダFWが、ふた回りも大きいメイジの重戦車FWのプッシュを必死に耐える、というのが早明戦の醍醐味のひとつでしたが、今や立場が逆転。スクラムを組めばいつもワセダが圧倒して、かつての重戦車はズルズル後退するばかりです。スタンドからは、やっぱりダメか、という大きな溜息が漏れました。
ワセダに劣らない良い選手ばかり集めてこれだけ勝てないのは、素人目には不思議なくらいです。試合後、ワセダの清宮監督は、数年来のライバルの低迷ぶりに「毎年観客が減るような早明戦では困る。しっかりしてほしい。」とコメントしたとやら。悔しいけれど、それが現実です。
また、あの胃が持ち上げられるような、独特の緊張感のある試合が観たい。ファンは、何年も前から切望しています。
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2005.12.03 Saturday
明日に迫りました、伝統の早明戦。「旅のすきま」のタイトルにかかわらず、今日もラグビーネタです。心配された天気は何とか曇りでこらえてくれそうですが、日が当たらないスタンドは寒くなりそう。その寒い中を、手に汗握ってジリジリしながら観るのが早明戦の醍醐味です。
過去80回の対戦成績は、ワセダの44勝34敗2分け。この勝敗の数以上に、平均得点差がたったの2点あまりというところに、両軍がどれだけしのぎを削ってきたかが表われています。この試合だけは負けたくないと、どちらも意地と誇りをかけて戦います。
早明戦は、実力伯仲同士の戦いとなるよりも、実力不均衡同士の戦いになる年のほうが多い。そして何より魅力なのは、劣勢の側が、善戦するどころか優勢の側を打ち負かしてしまうことが度々あることです。学生の頃、今年は圧勝してくれるだろうと観に行った試合は、いつも予想外の接戦。後半ロスタイムに逆転トライを食らったこともありました。
実力が今年ほど離れた早明戦は、今までになかったかもしません。それだけに、スポーツ紙に見るメイジの練習には、ただならぬ悲壮感が漂っています。対するワセダは、早明戦初のスクラムトライを奪ってやると意気揚がっています。
でもこんな時なのです。番狂わせが起こるのは−。伝統の一戦、今年はどんなドラマがあるのでしょうか。
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