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その7 森の奥にあったもの(前)

島の西部にある知名瀬地区。集落から農道を数百メートル分け入った薮の中に、天井が潰れ窓ガラスを割られた車が、無造作に放置されていた。昨夜の雨に濡れた車体が、背丈ほどに伸びたススキの間から鈍い光を放っている。
ぬかるんだ畔道をさらに奥に進むと、用済みとなった自動車が山と積まれていた。あるものはドアがなく、あるものは窓ガラスを割られ、またあるものは原形をとどめない程に潰されている。中には錆びが酷くて朽ちているのもある。

 佐々木さんの話によると、この場所に放置されている自動車はおよそ三五〇台。引取り業者は特定できているが、土地所有者の合意を取りつけた上で放置しているので、市当局は直接手が出せない。当該業者は、再三指導したにも拘わらず、すでに生活保護を受ける身で、処理が進む見込みは立たないという。

 知名瀬地区から車で五分。幹線道路から海岸方向に一〇〇メートル程入った林道脇の林の中に、目を覆うばかりの廃車の群れがあった。林道から下の崖を見遣ると、溢れた自動車が海に向かって雪崩を打っている。車体に「農林水産省」の文字の入ったライトバンが、ひときわ無惨な姿を晒している。

 この周辺に投棄された廃車はおよそ二〇〇台。市の指導を受けて、投棄を行った業者は数台くらいは処理したらしいが、その後処理業から手を引いたため、ほとんどがいまだ放置されたままだ。知名瀬地区と同様、今後の処理の目途は立っていない。
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