南米の小国、ボリビア。
アンデス高原の、標高4100メートルにたたずむ町、
ポトシ。
マッチ箱のような家並みの中に頭角を現すラ・コンパーニャの塔から、“富の山”セロ・リコを望む。
日本からはるばる飛行機に乗って25時間。
降り立ったその場所は、富士山よりも高い場所だった。
そんなボリビアにあって、ポトシは「世界最高地にある都市」として知られる。
稀薄な空気。荒涼とした景色。アンデスから吹きおろす乾いた風。
息苦しさに耐えながら坂道を歩けば、胸の鼓動が早鐘のように鳴る。
豊かな銀を産み出してきた“富の山”は、幾多のインディオ奴隷が犠牲になった悲しい山でもある。
赤茶けた山肌は、ここで斃れたインディオの血と汗の色。
もうろうとする意識の中で、苦役を忍び続けた鉱夫たちの嘆きの声を聞く。
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