
その昔、神に近づこうとした人間は「バベルの塔」を造ろうとした。怒った神は人間の言葉をバラバラにし、世界に混乱をもたらした…。
2007年アカデミー賞5部門にノミネート。菊池凛子が助演女優賞にノミネートされた本作品が、ついに日本公開へ。
モロッコのサハラ地域。羊の群を狙うジャッカルを追い払うため、父親から銃をもらった仲のよい兄弟。たがいに相手への不安を抱えながら、モロッコを旅行するアメリカ人夫婦。その夫婦の子供を預かっているメキシコ人の家政婦。そして、母親を失くし、その痛みを越えられないまま父と2人暮しを続ける聾者の日本人女子高生。モロッコ、アメリカ、メキシコ、東京という4つの時間軸が、一発の銃声をきっかけに複雑に絡まり合っていく。
疑心、憎しみ、苛立ち。言葉と人種の壁。人間が分かり合うためには、あまりに多くの「壁」があって、過ちを犯した後でなければ、解り合うことができない。人間はそもそも愚かな存在で、それを理解しなければ一人前の人間とは言えない…。
この作品の舞台となったモロッコのサハラ地域。
シェビの大砂丘を目指した去年の9月に、物語の発端となったエルフード近郊をバスと車で通過した。全てを焼き尽くすような陽差しと熱風に、朦朧となりながら旅をした数日間。その道中、苛烈な環境でたくましく暮らす人々と出逢った。
圧倒的な自然の力を前にすれば、人間は無力で愚かな存在だ。彼らはそれをよく知っているのだろう。モロッコの旅は、これまでで最も“手強い”旅だった。
話題作『バベル』を観ながら、人間の弱さを思い知ったモロッコの旅がよみがえる。
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