「もう30分前から起きてるのよ」
そう言ったのは、娘の笑顔とは正反対の、ぐったりと疲れ切った顔の相方。
親の事情などおかないなしの子供は、まったくの自然児だ。
仕事という免罪符がある僕は、起きていたことにも気がつかず、気がついた後も、後ろめたさを感じながらも再び眠りについた。娘はそのあと5時半まで思いきり遊んだ末に、やっと寝たらしい。
つねに自分のペースで振る舞う娘。その、文字通り“自然体”の娘を育てる母親は、ほんとうに大変だ。普通に寝て、1日仕事をして、帰ってきてご飯を食べて、あとは寝るだけの父親のほうがよっぽど楽なのじゃないか、と思えてくる。
「今日は皿洗ってあげるから」
なんて声をかけてあげただけでも嬉しそうな顔をするくらいだから、その大変さがわかる。
相方が悪戦苦闘する娘はというと、ずりばいが板についてきて、リビングから台所へ行けるようになったところ。それだけでも、娘にとっては大冒険だ。
これが、将来は何処へ行きたいと言うのやら。散々心配かけてきた自分のことを棚に上げて、「そんな危ないとこ行っちゃダメだ」とは言えそうにない。
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