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08.倫敦のシンボル


倫敦は、海を50キロほど入ったところに広がっている港町だ。ロンドンの語源はケルト語で「リンデン」、即ち「湖の端」という意味だという説があるが、確かなことは判らない。が、要するに海につながるテムズ河の岸にできた港町で、何処まで行っても、テムズ河と倫敦は一体に考える必要がる。
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07.ビック・ベンの鐘


地下鉄ディストリクト線に乗って、ウェストミンスター駅で降りる。階段を上ると、すぐ横にビック・ベンの高楼が天に向って延びている。
 と、10時を指した大時計から美妙なる響きが徐に降ってきた。最も倫敦的と言われる鐘の音が辺り一帯に広がって、道行く人は憶えず足を止めて聴き入っている。
 英国というと必ず引き合いに出されるのが、このビック・ベンを伴なったパーラメント及びウェストストミンスター・ホールだ。成文法がないくせに、世界一恐ろしいと言われる英国憲法が作られた場所である。
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06.露天の政治家


倫敦第一の称のあるハイド・パークでは、日曜の午後になると伝統のスピーカーズ・コーナーが賑やかだ。さすがに議会制民主主義発祥の地だけあって、一般市民に到るまでスピーチの機会が与えられるのは、感心と言う外はない。英国首相の条件にスピーチの優秀さが数えられるのは当然で、歴代首相は、ほとんど例外なく演説の名手である。
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05.パブ・ライフ

バッキンガム宮殿で衛兵交代の儀式を観て、「The Mall」と呼ばれる並木道をトラファルガー・スクエアまで戻った後、僕は倫敦一の繁華街ピカディリ??・サーカスの一角にあるパブに入った。倫敦の街にはそこら中にパブがあって、昼となく夜となく営業している。僕のガイドブックには、倫敦人は喫茶店に入ると同様の料簡をもってパブに通うとある。
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04.英国の結晶

ホワイト・ホールからパーラメント・ストリートへと歩いて来ると、左側にビッグ・ベンと国会議事堂即ちパーラメント、右側にウェストミンスター寺院のゴシック風の建築が見えてくる。倫敦を訪れた外国人が、もっとも倫敦的色彩を感じる光景だ。
 で、英国の結晶と称えられるウェストミンスター寺院を実際に初めて目にした時の、僕の正直な感想は、想像していたよりもみすぼらしい、薄汚れた石の寺だというものであった。まさか、永年太陽の光を浴びている間に縮んでしまった訳でもあるまいが、話に聞いていた内容からすると、どうも見栄えがしないように思われる。6ポンドの入場料はあくまで倫敦名物たるに背かないが、果たしてその実は伴なうのか。
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03.倫敦の永田町

倫敦で最も古い銅像だというチャールズ1世の像を真っ直ぐに、パーラメントの方向へ延びる往来をホワイト・ホールという。
 クロムウェルの反乱の折、今は乗馬の銅像になったチャールズ1世自身が断頭台に上った場所で、昔ここに同名の宮殿があったという。その宮殿は300年前の火事でほとんどが焼けてしまって、今はバンケティング・ハウスと呼ばれる建物の一部が残るばかりだが、ヴィクトリア朝になって、石造りの大建物が建ち並ぶ官庁街になった。いわば倫敦の永田町、霞ヶ関とでも言うべき場所である。
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02.英雄の広場

憧れの倫敦へやってきて、劈頭一番に訪ぬべきは、果たして何処が相応しいか。名所だらけの倫敦に到着した外国人を、常に悩ましてきた問題が即ちこれである。
 ガイドブックの観光スポットの1番目に載せらるるパーラメントか、倫敦一の繁華街ピカデリー・サーカスか、倫敦のシンボル、セントポール寺院か、はたまた「The Museum」大英博物館か。
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腰弁

山本夏彦翁が、昔、公務員を称して腰弁と言ったことがあります。「腰弁」は腰弁当の略で、謂う心は、覇気も野心もない小役人というほどの意味だそうです。
 僕の勤務する職場は、東京の永田町にある任意団体で、役所の親戚のようなところですから、夏彦翁のいわゆる腰弁が寄り集まった職場です。そういう僕も、紛れもない腰弁の1人です。
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01.プロローグ

今までの十数回の旅の中で、僕が唯一先進国を歩いたのは、イギリスの都ロンドンです。愛読書に昔のロンドンを描いた古い本があって、僕は、いつかこの本を持ってロンドンを歩いてみたいと願ってきました。
 で、その夢が叶ったロンドン旅行でも、僕は毎日旅行紀を書きました。本をたくさん読んでいったせいで、少々能書きが多いきらいがありますが、これから、時々『倫敦紀行』を掲載したいと思います。今日はその第1話…。
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真猫と贋猫

漱石の“猫”なら、麦酒に酔った末に烏の勘公が行水に使っている水がめに落ちて死んだはずだと、名作「猫」を読んだことのある人は誰でも知っているでしょう。それが、三十有余年の後にその水がめから這い上がってきて、ドイツ語教師五沙弥先生の家に住み込んだらしいということは、知らない人の方が多いかもしれません。
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