<< May | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 06.露天の政治家 | main | 08.倫敦のシンボル >>

07.ビック・ベンの鐘


地下鉄ディストリクト線に乗って、ウェストミンスター駅で降りる。階段を上ると、すぐ横にビック・ベンの高楼が天に向って延びている。
 と、10時を指した大時計から美妙なる響きが徐に降ってきた。最も倫敦的と言われる鐘の音が辺り一帯に広がって、道行く人は憶えず足を止めて聴き入っている。
 英国というと必ず引き合いに出されるのが、このビック・ベンを伴なったパーラメント及びウェストストミンスター・ホールだ。成文法がないくせに、世界一恐ろしいと言われる英国憲法が作られた場所である。

直線と鋭角三角形を集めたゴシック建築の全景を眺めたいなら、ランベス橋からテムズ河を向こう岸に渡ってみるがよい。重たい灰色の雲の、今にも泣き出しそうな倫敦日和の空の下で、パーラメントがその壮麗な姿を見せるだろう。遥か向こうに見える、これまたゴシック調のウェストミンスター寺院の西塔を併せて眺めれば、どんな国から来た人間も、そのあまりの倫敦的光景に寒気がするほどの感動を憶えざるを得ない。

 今僕の目の前にある建物は第2時世界大戦後に建てられた3代目らしいが、その発祥となると、11世紀のウィリアム??世の時代まで遡る。その後、1834年の火事で焼けてゴシック風の壮大な建物となるが、戦災を受けて残ったのはウェストミンスター・ホールのみであった。
 その昔、ウェストミンスター・ホールからホワイト・ホールの方へ渡った所には、ロンドン警視庁の建物があった。以前ここにはスコットランド王の屋敷があったことから、「スコットランド・ヤード」と呼ばれてホームズの推理小説にも登場したが、ロンドン警視庁は、その名称とともにセント・ジェームズ公園の南側に行って建っている。

 残されたパーラメントとウェストミンスター橋と、美妙なるビック・ベンの声が、今も英国を代表して倫敦見物の外国人を迎えている。
倫敦紀行 | comments (0) | trackbacks (0) admin

Comments

Trackbacks

Trackback URL : http://www.saftyblanket.com/travel/2008/sb.cgi/9