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08.倫敦のシンボル


倫敦は、海を50キロほど入ったところに広がっている港町だ。ロンドンの語源はケルト語で「リンデン」、即ち「湖の端」という意味だという説があるが、確かなことは判らない。が、要するに海につながるテムズ河の岸にできた港町で、何処まで行っても、テムズ河と倫敦は一体に考える必要がる。

倫敦の中心に近いところでは、テムズ河はどこも河岸工事が施されていて、散歩をするには最適だ。また、テムズ河から倫敦を見なければ、倫敦そのものを理解することはできないという説もある。
 一日、僕はランベスの辺りから今日の目標だったセント・ポール寺院までの道のりを、テムズの流れに沿って歩いた。澄んだ水とは言い難い、濃い泥色をした河の水が、湖の影響で東から西へと流れている。その河岸を、ウェストミンスター橋からブラックフライアース橋までの2キロ近くの距離で、ヴィクトリア・エンバンクメントが走る。日本人観光客があまり興味を示しそうにない河沿いの道からは、一味違った倫敦を観ることができる。
 映画『哀愁』で、ヴィヴィアン・リー演じるバレエダンサーのマイラと、若き陸軍大尉ロイ・クローニンが出逢ったウォータールー橋は、今は新しい石造りのアーチに変わってしまったが、2人が観た90年前の倫敦はどんな光景だったのか、というようなことも考えてみる。

 そのウォータールー橋から観るセント・ポールの大ドームは、今日も泰然として、建築以来倫敦のシンボルと言われたその姿を現している。
 セント・ポールの大伽藍は、1666年の倫敦大火の後、英国一の大建築家クリストファー・レンが、35年の歳月を費やして造ったものだ。内部の装飾などは極めて壮大で、サー・クリストファー・レンが、この事業にいかに想いを尽くしていたかが解る。倫敦を訪れた外国人は、セント・ポールと、この寺を造ったレンの魂に敬意を表した後でなければ、倫敦を離れることはできないとしてある。

 僕は、大ドームの頂上にある、垂直83メートルのゴールデン・ギャラリーから倫敦全市を見渡した。このドームが300年来見続けた倫敦は、今日も刻々と変化を遂げながら、未来への歩みを進めている。
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