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10.地下の倫敦


倫敦市内の交通は、主に地下鉄とバスとに依っている。日本の都会のような地上を走る電車は、市内中心部にはなく、倫敦から外に出る場合に限られている。倫敦の地下は、東京と同様網の目のように地下鉄が通っていて、何処へ行くのにも不便を感じることはない。

往来を歩いていて、「UNDER GROUND」の看板を見たら、それが地下鉄の入口だ。倫敦の地下鉄はいずれも地下深くを通っていて、乗客は長大なエスカレーターに乗ってプラットフォームに至る。地下道は鉄管を埋め込んだような丸天井で、余計なスペースはほとんどないから、洞穴の中を行くような具合だ。
 さらに中を走る電車もこれと同じような円形をしていて、車内は両側に人が座ると間を通れないくらいに狭い。またドア付近は天井が低いので、僕のような、あまり背の高からぬ者でも身をかがめなければ入れない。連日の通勤ラッシュで怪我人が出ないのが不思議なくらいだ。

 切符は日本の切符の3倍もあるようなやつで、改札の前の窓口か自動券売機で買う。僕のような旅行者は、トラベルカードというのが便利だ。倫敦の中心から同心円状にゾーン1からゾーン6に区切り、1日、1週間、1ヶ月、1年の期間で、それぞれ定期券のように使うことができる。旅行者はほとんどゾーン1で用が足りるから、最も安いのを買えばよい。

 地下道を歩いていると、たまに無名の音楽家に出逢うことがある。ギターを弾いて唄っているのが多いが、中にはクラリネットを吹いているのもあり、ヴァイオリンを弾いているのもあり。大道音楽家のくせにどれもなかなかの腕前で、ちょっとチップを投げても差し支えなさそうに思える。

 地上の活動のみならず、地下の倫敦を研究するのも得るところ極めて大である。
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