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渋沢家三代(佐野眞一著 文春新書)

渋沢家「余りあるをもって人を救わんとすれば、人を救う時なし」の言葉通り、社会の発展のため私財を惜しみなく使った日本近代経済の創業者。
渋沢栄一と、その息子篤二、孫の敬三と渋沢家3代の歴史を追ったこの本が出たのは9年も前。去年、近所の古本屋から100円で買ってきて、本棚の奥で“積ん読”状態になっていたのを引っぱり出して読み始めたのでした。

そんな、いい加減な扱いをしてきた本なのに。読み進めていくうち、デキが良いのに驚きました(笑)。

取材が綿密で史料もよく読んでいる。いろんな出版社から出される玉石混淆の新書の中でも、かなりレベルが高い著作だと思われます。経済の巨人・渋沢栄一が生まれたのは1840年。3代目の敬三が亡くなったのは1963年。実に約120年に及ぶ壮大な歴史物語が楽しめます。

渋沢栄一は、幕末の動乱では、徳川慶喜の家来として働くんですね。その辺は司馬遼太郎の『最後の将軍』にも出てきます。その後、慶喜の弟、昭武に従ってヨーロッパに遊学。帰国後しばらく大蔵省に勤め、やがて野に下って近代経済の発展に尽くしていきます。

渋沢栄一それにしても、幕末や明治の早い時期に欧米各国をみた日本人の驚きとはどれほどだったのか。ひと昔前のカルカッタ・ショック以上のショックを受けて帰ってきたのでしょう。そこで奮起した人々が、近代日本を創ったんですね。

そんな時代から100年以上経った平和ボケの日本。ボケるくらいなら旅をして、そこで受けたショックを世のために生かしたいものです。
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創作取材か、佐野眞一 | 世は不可解なり | 2007/11/04 11:11 AM
私の尊敬する先生が仰ったことだ。「佐野眞一は酷い。自分の好きなように話を作って書いている。行ってもいないところも、行ったように作っている。」そうだ。実際、会ってもいない人が佐野の本の中ではまことしやかに書かれているという。ある大学の大学院生が、