「子供を育てるのに何かこだわりはあるんですか?」
この間、会社の後輩女史にこう尋ねられました。
こだわりって言ってもねぇ。娘はまだ話すこともできないし、善し悪しの区別もつかない。教えて分かるにはまだ少し早いので、これから考えていこうくらいに思ってました。子が生まれたばかりなら、“親”稼業もまだ始めたばかりだからね。
でも、思うことはあります。
僕は田舎育ちなので、ふるさとの人と自然に囲まれて生かされてきた、という感じが、この歳になってすごくするんですね。お寺に行くと、昔々のご先祖が寄進した記録が壁に掛けられていたりして、連綿と続けられてきた営みがあって自分がいるんだと思ったり。
けれど娘は生まれたときから都会にいる。「ふるさと」と言える場所がないので、自分1人で生まれてきて、生きている、と思いこんでしまうおそれがある。
だから、祖父母がいて、親がいて、自分が生まれて、という「つながり」というものは、ちゃんと教えなきゃダメだな、と。
よく、友達のような親子関係なんて聞くことがありますが、僕は反対です。親は親、子は子。親は、自分がこれまで上の世代から伝えられてきたこと、自分で学んだことを、子供に伝える義務がある。親が子に教える場合は、問答無用のこともあるのです。「どうして人のものを盗っちゃいけないのか」なんて、理由も何もありません。一言、それがルールだ、と言えばいい。
そうやって色んなことを伝えていって、一人前の大人、一人前の日本人に仕立て上げなきゃなりません。子育てって、大変な仕事です。
<<続きを隠す