
自分で中古の家を買ってリフォームしてからというもの、がぜん建築に興味がわいてきた。信頼のおける大工さんの手で、壁の中に隠れて見えない所から次第に造られていく様には醍醐味がある。事務職なんて、形あるものを生み出さない“虚業”を職とした自分からすると、結果が確実に形になる仕事が羨ましい。
木造の住宅には建て方がいくつかある。主なものをあげると、
最もポピュラーな在来軸組構法。
次に、昭和40年代以降に普及したツーバイフォー。
さらに、プレファブとも呼ばれる木質パネル構法。
僕は田舎育ちなので、工場で作った材料をパタパタと現場で組み上げるツーバーフォーや木質パネル構法には、どうしても魅力を感じない。やっぱり、職人が建てた家でなければ、大枚はたいて手に入れる気にはなれない。
で、築28年の我が家。
もちろん在来軸組構法の普通の一軒家なのだが、大工さんの話によれば、もともと結構しっかり造ってあるとかで、柱や梁その他には多く檜が使われていたそう。
地震耐力上欠かせない筋交いも、きっちり入れてあった。
阪神大震災の時につぶれた家は多く在来軸組構法で、一時この構法は地震に弱いと敬遠されたが、なに心配はない。然るべき箇所にちゃんと筋交いを入れて、壁をバランスよく配置して、基礎がしっかりしていればつぶれることはない。先の地震で倒壊したのは、この大事な条件が頼りない家ばかりだったのだ。(興味のある人は、坂本功著『木造建築を見直す』(岩波新書)を)
職人が造り、日が良く当たって、風が吹き抜ける家は、やっぱり良いものだ。
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