<< May | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 故郷で感じたこと | main | 11.親日的アラブ人 >>

10.薔薇色の神殿

世界遺産として、日本にも広くその名を知られるぺトラ遺跡は、ヨルダン観光のハイライトだ。連日世界中から観光客が訪れ、ヨルダンの外貨獲得に多大な貢献をしている。映画『インディー・ジョーンズ−最後の聖戦−』の舞台に使われてからは、世界中の注目を集めるところとなった。
 ぺトラ遺跡へは、僕のホテルから長い坂を下る。ビジターズ・センターで入場券を購入してさらに坂を下ると、いよいよ『インディー・ジョーンズ』にいう「三日月の谷」の入口だ。切り立った岩に挟まれた狭い谷をしばらく歩くと、突如として、目の前に薔薇色の大神殿が現われる。ジョーンズ博士が、悪漢たちと最後の激闘を演じた舞台、通称「エル・ハズネ」。こうして実際に目にしてみると、ジョーンズ博士が追い求めた聖杯が確かにあるらしく思われる岩の大建築だ。一日のうちに、日の当たり方によって50通り以上の薔薇色を呈すというドラマチックな姿は、中東随一の称もある。

 そもそもぺトラ遺跡は、紀元前6世紀頃からこの辺りに定住したナバタイ人が造ったものだ。エル・ハズネにはヘレニズム建築の影響があるから、ローマ時代の作というのが定説である。確かに、エル・ハズネからしばらく奥に行くと、ローマ劇場がある。

 ぺトラ遺跡は、岩と砂漠の大地に無数の建造物が点在する大遺跡だ。エル・ハズネから1時間半ほど歩いた岩山の向こうには、「エド・ディル」と呼ばれる修道院跡があり、高さ45メートル、幅50メートルの威容を誇ったその姿は、ペトラ観光のもうひとつのハイライトになっている。

 かつて繁栄を誇ったペトラは、ついに紀元106年、ローマ帝国に併合され、さらに大地震などによって荒廃が進んだ末に、6世紀には人も住まぬ廃墟となった。
 今はただ、彼らの造った岩の大神殿が、僕の目の前で薔薇色の輝きを放つのみである。
アラビア紀行 | comments (2) | trackbacks (1) admin

Comments

睦月 | 2006/03/29 12:12 PM
薔薇色の神殿・・・なんてロマンティック。
『インディージョーンズ』は、かなり娯楽色の強い作品だと思っているので、そこに流れる情景や土地の風景などにはほとんど目もくれていなかったというのが正直なところなんです・・・実際に現地に行ったHARUさんの紀行を読むと、違う視点でこの作品を見直したくなる。

≫一日のうちに、日の当たり方によって50通り以上の薔薇色を呈すというドラマチックな姿

ああ・・・実際に見てみたい。
そういえば、今年も海外へ行く時期が近づいてきました。今回はどこへ行こうか悩んでいる睦月です。
5月に開催されるフランス・カンヌ映画祭に行けたらいいのになあ・・・なんて夢のような思いをはせています。
HARU | 2006/03/30 12:31 AM
カンヌ映画祭を実際に観る!
夢のような話だなぁ。さすが睦月さん。
今年じゃなくても、ぜひ実現してください。

映画の舞台になった場所に行くと、その作品の見方も変わるでしょうね。
確かに『インディージョーンズ』は娯楽色の強い作品。
でも、エル・ハズネの歴史とか文化的価値を知ったら、新しい視点が出来ることになる。
映画はやっぱり奥が深いですね。

Trackbacks

Trackback URL : http://www.saftyblanket.com/travel/2008/sb.cgi/170