冥土から師匠が甦ったようで、嬉しくなりました。
表紙の笑いが何とも言えない対談集、『浮世のことは笑うほかなし』。
先月の27日に、「著者 山本夏彦」で講談社から発売です。
夏彦翁は今から50年以上前、建築雑誌「木工界」(のち「室内」と改題)を創刊。長く同誌の編集兼発行人を務めるかたわら、週刊誌その他にコラムを書き続けた文筆家です。
今回の著作は、「室内」で企画した各界名士との対談を本にまとめたもの。まだ途中ですが、電車の行き帰りだけで、嬉しくて3分の1くらい読んでしまいました。「浮世のことは笑うよりほかなし」なんて、第一タイトルが良い。これも、翁一流の箴言のひとつです。
ここまで読んだ中には、清水幾太郎、向田邦子、石山修武など僕でも見知った人物が登場しています。夏彦翁のコメントは、もちろんコラム同様切れまくり。この後も、安藤忠雄、藤原正彦、盛田昭夫などが出てくる。いち出版社の発行人が、こういう人物たちを相手に対談するのだから、やっぱりすごい。
夏彦翁は、無名の人物を世に出したことでも知られるんですね。この本にも出てくる安部譲二なんかその1人です。
年とるごとに、世間と人間の本質を突く翁の言葉に感心することが多くなるこのごろ。せめて笑いを忘れずに、浮世を泳いでいきたいものです。
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